国会に初登院したときの広瀬めぐみ氏=2022年8月3日
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 またもや国会議員の「政治とカネ」の問題が浮上した。自民党の広瀬めぐみ参院議員(7月30日に離党)をめぐる秘書給与詐欺事件だ。自民党女性局のパリ研修旅行でのごたごたや外国人男性との密会など、何かと世間を騒がせてきた広瀬氏だが、今回は検察が捜査に乗り出した。国会議員の政策担当秘書の経験がある政治ジャーナリストの安積明子氏はどう見たか。

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 東京地検特捜部は7月30日、広瀬めぐみ参院議員(岩手選挙区)の都内の自宅や事務所などを家宅捜索した。広瀬氏が参院選に初当選した5カ月後の2022年12月から03年8月まで、公設第2秘書として届け出ていた公設第1秘書の妻の給与を勤務実態がなく、だまし取った疑いだ。

広瀬氏は弁護士なのに

 一報を聞いて、「いや、まさか」という気持ちと「やはり」という気持ちが交錯した。秘書給与詐取は刑法上の詐欺罪に相当する。広瀬氏は弁護士なのだから、この種の行為が違法であることを知っていたはずだ。しかも00年9月には山本譲司氏、03年7月には辻元清美氏が秘書給与詐欺事件で執行猶予つきの有罪判決。山本氏は懲役1年6カ月の実刑判決を受けたという前例がある。田中真紀子氏も02年、秘書給与流用疑惑で刑事告発された(不起訴処分)。細川護熙政権で自治大臣(当時)を務めた佐藤観樹氏も懲役1年4カ月の実刑判決を受けている。

 実際には秘書給与のピンハネは、秘書による“自主的な寄付”などの形をとって行われている。多くは事務所経費の捻出なのだろうが、それだけではない。

 たとえば、すでに政界から消え去った元議員の例だが、筆者の知人が政策秘書になったとき、「月額10万円の上納」を求めてきたと聞いた。その後、事務所経費の支払いに充てられていた旧文通費(現在は調査研究広報滞在費/月額100万円で非課税)の振込先を、いつの間にか議員の口座に変更していたことが発覚。知人と第1秘書が問い詰めると、「せっかく国会議員になったのだから、オレも良い生活がしたい」と弁明したらしい。

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安積明子

安積明子

■あづみ・あきこ/兵庫県出身。慶應義塾大学経済学部卒。国会議員政策担当秘書資格試験に合格し、政策担当秘書として勤務。その後テレビなど出演の他、著書多数。「『新聞記者』という欺瞞|『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)などで咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を3連続受賞。近著に「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)。趣味は宝塚観劇。

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