更には、日経平均が急激に下落している状態が続いている環境で政策金利を引き上げたら、それこそ金融市場は急速に下落し、景気の重しになる可能性もあります。1990年代のバブル崩壊の兆しが見えた時に、日経平均が急速に下落し、そのタイミングで日銀が利上げをしたことが本格的なバブル崩壊の原因のひとつと言われることもあります。(もちろんそれ以外にも理由はあります)

農林中央金庫は23兆円の外債を保有

 もうひとつの懸念は、約56兆円の資金運用をする国内最大規模の機関投資家、農林中央金庫(通称:農中)が、1兆5000億円の赤字損失を出したことで、それによる影響です。これまで日本で低金利時代が続いていたので、農中は海外資産に投資し、積極的に利回りをとれるように運用していました。しかし、米国債の金利高止まりが長期的に続き(債券の金利が上昇するということは、債券価格は下落することになるので、保有している米国債の含み損を拡大することになる)、積極的に投資をしていた米国債などの運用失敗により莫大な損失を受けたのです。

 日本経済新聞社の報道では、農中は「2025年3月までの1年間で、保有する米国および欧州の国債10兆円(630億ドル)以上を売却する予定であり、バランスシート悪化の主な原因である低利回り外国債への投資による損失を食い止め、外国国債保有に伴うリスクを下げることを目指している」と報道されています。つまり、ここから農中による米国債を中心とした債券売却が本格的にスタートしそうだということです。

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売却の連鎖が起きる?