このコラムを書いている日の日経平均は1000円以上の値下がり、ドル円は153円へと急激にドルが売られる動きになっています。この15年間、金融市場に携わる仕事をしていて感じるのは、日経平均の下落と同時に、円高に振れやすいことです。そして、金融ショックはある日突然くるということです。もちろん、現状では金融ショックを考えるほどの金融市場の変化ではないと思います。
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しかし、どんなことが起こると、金融ショックが起こりうるかのシミュレーションをしておくのは重要だと思います。株価下落に備えて資産分散をするのはもちろん、空売りなどでピンチをチャンスにしたいと考える人にも有効でしょう。
(ちなみに、私は個人では空売りは好みません。理由は、日本の空売り市場においてはプロと個人の格差が激しすぎるからです)
いま金利を引き上げるリスクとは
金融市場では、大きく2つの要因が懸念されています。ひとつは、日本銀行が7月末の金融政策決定会合で政策金利引き上げを実行するかどうかです。コロナ禍以降の日本では、円安と原油など資源価格の上昇により輸入物価が上昇、そして物価上昇の勢いが止まらないという状況です。この状況を打破するために、よく使われるのが政策金利の引き上げです。
政策金利を引き上げて、お金の調達コストを上昇させて、国内景気に対してクールダウンさせることで物価の上昇に歯止めをかけようとします。しかし、今の日本は国内GDPの半分以上を占める内需がとにかく弱い。春闘や最低賃金引き上げなど明るいニュースも多いものの、最近の研究では、労働組合の対象者でない中高年層の賃金引き上げに待ったがかかっている状態や、非正規雇用の増加で賃上げムーブメントの恩恵を受けられない人が多いことが示唆されています。この状況では政策金利を引き上げたら、物価だけでなく国内景気も一気に冷え込むリスクがあるのです。