2021年にリーグ優勝を果たした川崎。今年はまさかの降格争いに…

 前出のサッカー雑誌編集者は、「降格争いは、優勝争い以上に先が読めません」と強調する。

「現在降格圏内の磐田、鳥栖は決して弱いチームではない。特に鳥栖はマルセロ・ヒアン、横山歩夢という強力なアタッカーがいる。守備陣を整備すれば十分に巻き返せるでしょう。この2チームが勝ち点を伸ばせば、思いもよらないチームがJ2降格するかもしれません。かつての王者・川崎もその可能性がゼロとは言えません」

 川崎は昨オフにファンウェルメスケルケン際、丸山祐市、山本悠樹、三浦颯太、ゼ・ ヒカルド、パトリッキ・ヴェロン、エリソンと各ポジションに即戦力を補強したが、なかなか上昇気流に乗れない。試合の主導権を握るが、先制した後に追加点が奪えず同点に追いつかれるケースが目立つ。20日の柏戦で3-2と7試合ぶりの勝利を飾ったが、2点のリードを追いつかれるなど安定した戦いぶりとは言えない。個々の選手の能力は高く歯車がかみ合えば連勝できる予感が漂うが、今後も白星を積み重ねられないようだと残留争いから抜け出せなくなる恐れがある。

「上位クラブと互角以上の戦いをする一方で、下位クラブに足元をすくわれる危険性があるのが現在の川崎です。技術が高い選手がそろっているが、中盤で相手のプレッシャーを受けるとボールを失ったり、サイドからクロスをどんどん上げられたりと、球際での強さに欠ける。田中碧(デュッセルドルフ)、三笘薫(ブライトン)、谷口彰吾(シント=トロイデン)、旗手怜央(セルティック)、守田英正(スポルティング)と日本代表の主力選手たちが次々に抜ける中、チームは変革期を迎えている。J2に降格したら主力の大量退団は免れません。次節の神戸戦がポイントになります」(スポーツ紙記者)

 戦国時代のJリーグ。優勝争いだけでなく、残留争いで目が離せない戦いが最後まで続きそうだ。

(今川秀悟)