AERA 2024年7月29日号より

 このサマーキャンプはコロナの影響で中止になったが、費用は戻らなかった。代表理事からは「為替の関係でニュージーランド留学の費用に充てたほうが得なのでストックしている」と報告された。さらに中止になったサマーキャンプを補うためにと、代表理事が講師を務める夏のオンライン講座を勧められ、講座費用として37万5千円を支払うことに。その後、少女が不登校気味になると、代表理事は、自分の自宅に預かり、英語力強化など留学に向けての準備を進めることを提案してきた。母親はわらにもすがる思いで代表理事に娘を託したが、これが留学にも裏目に出た。

 ニュージーランドの渡航制限が解かれたものの、代表理事は「現地校から入学許可が下りない」と言い出した。不登校の子は受けつけられないというのが現地校の言い分だという。

「不登校気味になったとき、学校は行かなくてもいいと言ってきたのは代表理事なのに、そのせいで留学に行けないなんて、信用できなくなりました」(母親)

当時すでに被害報告が

 実はこの法人はこの時点ですでに複数の家庭と金銭トラブルを起こしていた。取材で入手した情報によると、2018年にはすでに被害報告があり、23年5月には民事で支払い命令判決が下っている。弁護士は民事だけでなく詐欺罪での刑事告訴も視野に動いていたが、お金が戻った家庭もあったためか、警察が告訴状を受理するには至らず、法人は営業を続けていた。

 少女の両親は昨年夏から、国際取引などにも詳しい外海周二弁護士を通して警察に相談、今年6月になりやっと詐欺罪の告訴状が受理された。少女の母親はこう嘆く。

「お金は全く戻っていません。うちよりも前に訴えがあったのなら、もっと早くに警察には動いてほしかった。被害が拡大せずに済んだかもしれない」

 取材に対し警視庁は「警察では、個別具体の事実関係に即し要件が整った告訴についてはこれを受理し、法と証拠に基づいて適切に対応しているところです」と回答した。

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