外海弁護士は、「被害を訴える人はさらに増えるかもしれない」と話す。今回、法人への取材を試みたが、電話は解約されており、事務所もなくなっていた。登記簿上の代表理事の住所も訪ねたが、現在の入居者によると、代表理事とは無関係だという。

 コロナの感染拡大で一時落ち込んでいた留学渡航だが、円安や物価高の影響はあるものの、出足は戻ってきた。留学を考えたとき、頼りになるのが、学校選びのアドバイスや、現地での生活のサポートなどを行う留学斡旋業者だ。ただ、悪質業者もまぎれていて、消費生活センターに寄せられる留学を巡るトラブル相談は毎年300件以上。留学斡旋業者を取り締まる規定もなく、契約書に定めがなければクーリングオフの対象外だ。

 日本人の留学先として人気のカナダでは、今年から留学生ビザの発行を昨年比35%減とする発行制限をかけている。住宅供給が足りていないことなどが主な要因だが、ミラー移民相は会見で、高額な授業料を請求しているにもかかわらず、質の低いプログラムしか提供しない悪質な教育機関の取り締まり強化についても言及した。以前から留学トラブルに警鐘を鳴らしていたカナダ留学に詳しいカナダクラブの大澤眞知子さんによると、カナダでも詐欺まがいの被害が横行しているという。

 例えば、日本のサイトでカナダ留学にお薦めの業者として掲載されていたある業者は、すでに現地メディアが経営破綻のニュースを流しているが、いまだに日本のサイトにはお薦め業者として残っている。法人は倒産するまでの数年間、留学生から預かった費用の一部を着服していた疑いが持たれているという。

丸投げせず自分で確認

 大澤さんの元に寄せられた相談のケースでは、カナダの学校に入学後数週間でなんらかの理由により退学を求められ、帰国を余儀なくされたものが目立つ。ホームステイ先から盗難を疑われたり、学校の規則に反したりなど、業者側から聞かされる理由はさまざまだ。だが、生徒本人に心当たりがない場合もあったという。生徒は契約期間よりもかなり早い帰国となったが、返金は数年たった今もない。

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