渡部:週刊誌の勃興を振り返ってみるとサンデー毎日さんの「大衆文芸」や週刊朝日の「百万人の小説」など文芸における役割もすごく大きい。
城倉:サンデー毎日も創刊から小説と講談にものすごく力を入れていました。戦前にも休刊の危機が何度かありましたが、白井喬二さんの『新撰組』など大衆文芸で持ち直した。だから週刊朝日もそうですが、すごい作家が書いている。吉川英治とか松本清張、戦前も芥川龍之介や直木三十五とか数知れない。
渡部:今も編集部にあるソファに松本清張が座っていたという話も聞きました。週刊朝日は振り返ってみると、スクープもありますが、連載や、宅配網を使って家庭に配られる新聞社系の週刊誌を牽引してきたという側面も大きいと感じました。歴代の編集長も、編集者も記者もみんなその矜持を持っていると思います。
城倉:ある意味101年のライバルというか、同志というか。日本の近代史とともに歩んできた。
渡部:サンデー毎日は若い層へのアピールはどのように考えていますか。
城倉:一つは表紙です。戦前は女優さんの絵とかが多くて、時々ニュースが入ったりしますけど、戦後もずっと女性がメインでした。今はもっぱら男性アイドルが多い(笑)。
渡部:やはり通勤のときにお父さんたちが読む文化が大きかったので女性の表紙が売れた。週刊朝日も篠山紀信さんが撮った女優さんの印象が強いと思いますが、今は本当に男の人が多いですね。
城倉:特にジャニーズ系とか、韓流もそうかもしれませんけど、“推し活”の表紙買いというのはここ数年の新しい現象ですよね。
■しのぎを削った大学合格発表号
城倉:大学合格者の出身高校別一覧は65年から始まりました。最初はエリートが生まれていく生成過程の追跡が目的だったのですが、それがすごく売れたらしいのです。
渡部:団塊世代がちょうど大学に行くくらいで、受験戦争が激しくなっていった時代ですね。週刊朝日で表紙に合格者の顔が出たのが、73年です。胴上げの写真なども定番になって、その後、編集方針の変化や個人情報保護が厳しくなって掲載をやめています。
城倉:受験シーズンに「東大合格者全氏名」を報じたのは76年からですが、関心のない人には「読むところがないじゃないか」とも言われました。