(写真はイメージ/GettyImages)

コンドーム配布はソウル五輪から

 実は、コンドームがオリンピックの選手村で配布されるようになったのは、1988年に開催されたソウル五輪に遡ります。五輪主催者側が、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)とエイズへの意識を高めるために、選手にコンドームを配布するという大々的な取り組みを行ったのが始まりだそう。それ以来、国際オリンピック委員会によって、五輪開催都市に対して、夏季および冬季のすべての大会において、コンドーム使用の取り組みを実施するよう奨励されてきました。

 例えば、2016年のリオ五輪では、選手村にコンドーム自動販売機が設置されるなど、選手1人当たり42個に相当する、45万個という記録的な数のコンドームが配布されたました。2022年に開催された北京五輪でも、COVID-19による社会的距離の確保に関するルールにもかかわらず、選手村でコンドームを配布するという伝統は継承されたようです。
 

 ちなみに、1年延期された2020年東京オリンピックでは、どうだったのでしょうか。国際オリンピック委員会による「コンドームの配布を継続するように」との要請があったこともあり、合計約15万個のコンドームが配布される予定でした。しかしながら、COVID-19パンデミック下における社会的距離の確保の必要性と新型コロナウイルス感染予防対策の結果、「選手村ではコンドームは使用せず、母国に持ち帰るように。」と選手らに指示された(※5)ことが明らかとなっています。
 

 私自身、コンドームのことを知ったのは、中学生の保健の授業だったと記憶しています。文部科学省の「保健教育の手引き(※6)」によると、中学3年生で性感染症の予防に関して学ぶことが記載されていますが、正直、性感染症に関して習った記憶はありません。覚えていることは、モザイクがかかった中絶に関するビデオを観て、中絶はこわいものだと子どもながらに感じたことと、その後にコンドームが配布され、「きゃーきゃー」といいながら、皆で興味本位に観察したということだけです。

 そのため、初めて性感染症や避妊法について学んだのは、23歳だった医学部4年生のときでした。とはいえ、これらのことが身近な問題であり、自分の身体を守るためにとても大切な知識だったのだと気がついたのはもっと後のことであり、当時は医学的な知識の一つとして得たに過ぎませんでした。

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