気持ちさん。冷静に聞いて下さいね。「最近、奥様に『離婚したい』と言った」のに、「奥様の反応は、『離婚するつもりはない』」で、「その後2カ月近く、特に変化なく今に至ります」というのは、僕には、男性は本当の意味では離婚するつもりはないと感じられます。

 そもそも、本当に「離婚したい」と言ったかどうかも、僕は疑います。本当に離婚したいのなら、「離婚したい」と言った時点で行動を起こすはずです。自分には今、好きな人がいる、だから離婚してほしい、裁判になってもかまわない、とにかく離婚したい。

 そういうアクションが何も起こらないということは、男性は、残念ですが、現状をだらだらと続けたいだけだと思えてしまうのです。

 気持ちさん。「頭の中がぐちゃぐちゃの日々を、どうやり過ごせばよいのでしょうか」と書かれていますが、「やり過ご」さない方がいいと僕は思います。

 提案としては、今の相手と、関係をはっきりさせることです。例えば、「三カ月以内に離婚の手続きを始めて欲しい。そうでないのなら、別れる」と宣言することです。

 それで相手が動くかどうか見極めます。

 それで動いてくれればとても幸福ですが、「分かった」と言いながら、三カ月をすぎてもダラダラと現状維持が続くなら、すっぱりと別れることをお勧めします。

 ショックを受けましたか。でもね、気持ちさん。心配しなくていいと思います。

 気持ちさんには、マッチングアプリがあります。今の人と出会ったように、マッチングアプリでまた出会えます。

 これは本気で言っています。「世間」の人の紹介でつきあいだした時は、別れようと思った時、紹介してくれた人の顔が浮かんだりします。「申し訳ない」とか「報告しないと」とか思って、憂鬱になります。

 でも、マッチングアプリは違います。自分の責任で自分の判断で相手も選んだのです。

 だから、やめても問題はないのです。

 気持ちさん。「頭の中がぐちゃぐちゃの日々」をはっきりさせるために、行動を起こしませんか。それが僕のアドバイスです。

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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