鴻上尚史さん(撮影/写真映像部・小山幸佑)
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 思いがけず不倫の当事者になってしまった50歳女性。マッチングサイトで知り合った相手が既婚者で、罪悪感と恋愛心の間で心が敏感になり、些細なことでもストレスに感じてしまうという。そんな女性に、鴻上尚史が贈った「やり過ごさないほうがいい」というアドバイスの真意とは。

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【相談225】

 マッチングサイトで出会った相手が既婚者でした。人の不幸を待ち望むような立場の自分がつらいです。不適切な関係から始まった間柄はうまくいくのでしょうか(50歳 女性 自分の気持ちがわからない)

 昨年、思いがけず不倫の当事者になってしまいました。マッチングサイトで知り合った相手が既婚者だったのです。仮面夫婦で家庭内別居状態なので、私と知り合う前から離婚の意思はあったとのこと。大変ショックでしたが、お互い問題を意識しながら理解を深めてきました。最近、奥様に「離婚したい」と言ったとのことです。奥様の反応は、「離婚するつもりはない」。その後2カ月近く、特に変化なく今に至ります。いろんな考えが頭に浮かびます。離婚の意思表示はしてくれたので、あとは冷静に待つだけとも言えますが、とにかくつらいのです。電話がこない、既読がつかない、なんでもストレスの原因になります。彼の言動に一喜一憂し、猜疑心や嫉妬、いつ状況が変わるか分からない不安から、物事に対して悲観的になり、もう振り回されたくない、という気持ちも。彼や奥様に対して意地悪な感情が浮かんでしまい、私の場合、不倫をしていると性格が悪くなってしまうようです。食欲もなく、時々手が震え、寂しさは、自分の時間を大切に生きようとする気力を奪ってしまうようです。既に夫婦の関係は破綻していたとは言え、ひとさまの不幸を待ち望むような立場であり、自分で自分が嫌になります。仮に離婚したとしても、不適切な関係から始まった間柄は、うまくいくのでしょうか? このように、頭の中がぐちゃぐちゃの日々を、どうやり過ごせばよいのでしょうか?
 

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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