Z世代の女性向けエッセイ投稿サイト「かがみよかがみ(https://mirror.asahi.com/)」と「AERA dot.」とのコラボ企画は第3弾。「わたしと『父親』」をテーマに、エッセイを募集しました。多くの投稿をいただき、ありがとうございました。
投稿作品の中から優秀作を選び、「AERA dot.」で順次紹介していきます。記事の最後には、鎌田倫子編集長の講評も掲載しています。
ぜひご覧ください!
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私はどちらかというと、「父親似」な方だ。
私の目は、幼なげに見える奥二重である。その上にはぽてっとした少し濃いめの眉。私が生まれたばかりの頃に撮られた若い頃の父の写真を見ると、それとよく似た顔が写っている。
私は幼少の頃から、本を読んだり、絵を描いたりすることが何よりも好きだった。誰かと遊ぶより一人で手を動かす方が楽しくて、家でも保育園でも黙々と一人遊びをする子どもだった。母はそんな私に「お父さんに似たんだね」と言った。
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母に、父は若い頃どんな人だったのかと聞くと「とても几帳面で、黙々と何かに熱中するタイプの人だった」と教えてくれた。
母はエネルギッシュで行動力のある、とても朗らかな女性だ。対して私は内向的で人見知りで、彼女に似た部分はほとんどないけれど、その分父の要素を受け継いだのだと思う。そんな風に自分が「父親似」である自覚もあって、私は昔から父のことが大好きだ。
仕事で忙しく家を空けがちで、たまに会えた時に聞くことができた、父の穏やかな声。私と妹に向けられる、優しい眼差し。今もはっきりと記憶に刻まれている、私の宝物のような記憶だ。
そんな素敵な思い出は、私が小学校二年生の時に終わってしまった。
両親が離婚し、父が家を去ったからだ。