「負けへんで」(イラスト:サヲリブラウン)
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 作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍するジェーン・スーさんによるAERA連載「ジェーン・スーの先日、お目に掛かりまして」をお届けします。

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 約1年前のこと。ポッドキャスト番組「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」パートナーの堀井さんが互助会員(リスナーの総称)と一緒に運動会をやろうと言い出しました。楽しそうだけれど、互助会員は控えめに言ってもご婦人層。ヤングとは言えません。日常的に運動している人もいるでしょうが、多くは普通の中年。つまり、全力で走ったり球を投げたり綱を引いたりなんて、20年以上していないはず。

「できたらいいね!」と言いながら、難しいだろうと思っていました。怪我人が出るのも怖いし、参加希望者もそれほどいないだろうと。しかし、協力者や賛同者はあっという間に現れて、それが現実になったのが先々週末のこと。

 横浜BUNTAIは3千人以上収容できる体育館です。しかし、埋まったところで参加者全員が競技に参加することは不可能。観覧者メインで本当に人が集まるの? はい、本当に集まりました3千人! メイン層は40歳以上の中年女性!

 安全第一をモットーに、競技は玉入れ、二択クイズ、100人PK、じゃんけん大会、大玉送り、綱引き。第1競技の玉入れから大盛り上がりで、私も声がかれるほど応援しました。ハーフタイムショーのテツandトモさんは最高のパフォーマンスで会場を魅了し、綱引きでは全員の心がひとつになって、感極まり涙ぐむ人も。いやあ、みんな全力で頑張った! 最高の奇祭!

 番組では「負けへんで」という言葉がよく使われます。毎度勝てるわけではないけれど、負けないぞという気概は持ち続けようという心意気。いままでのイベントでは、堀井さんと私の「負けへんで」を互助会員さんたちに見守ってもらう形でしたが、今回は一緒に「負けへんで」ができたことがなにより嬉しい。

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ジェーン・スー

ジェーン・スー

(コラムニスト・ラジオパーソナリティ) 1973年東京生まれの日本人。 2021年に『生きるとか死ぬとか父親とか』が、テレビ東京系列で連続ドラマ化され話題に(主演:吉田羊・國村隼/脚本:井土紀州)。 2023年8月現在、毎日新聞やAERA、婦人公論などで数多くの連載を持つ。

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