安倍晋三氏に向けて発砲したとみられる男と取り押さえようとするSP
安倍晋三氏に向けて発砲したとみられる男と取り押さえようとするSP
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 あんな出来事があった、こんな話題があった…と記事で振り返る「あのとき」。一昨年の7月ごろに、多く読まれていた記事を紹介します(この記事は2022年7月8日に「AERA dot.」で掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。

【写真】銃撃直後の現場の様子

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 安倍晋三元首相(67)が街頭演説中の奈良市西大寺東町の路上で銃撃された。心肺停止の状態で、奈良県立医科大付属病院に運ばれた。現場では山上徹也容疑者(41)が殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。どういった状況だったのか。目撃者に話を聞いた。
 

「最初は何が起こったのかわからなかった」

 こういうのは大和郡山市に住む女性(18)だ。

 安倍元首相は、近鉄大和西大寺駅の北口で参院選の応援演説をしていた。山上容疑者は安倍元首相の背後から近づき、2回発砲した。女性は買い物でたまたま駅を訪れていたところだった。安倍元首相が演説しているとは知らなかったという。女性はこう語る。

「『ドゴーン』と花火で聞くような大きな音が鳴りました。それで振り返ると、6mくらい先に筒状の大きなものを持った人の背中が見えました。そして、2発目を撃って、煙が出るところを見ました。声は聞こえませんでしたが、2発目を打つ前には何かを言っているようにも見えました」

 現場で撃たれるまでの一部始終を見ていたという男性(46)はこう説明する。

「安倍元首相の演説を見ていたら、車線を横断するように一人の男が寄っていって、なんだろうと思っていたんです。そしたら、ズドンという大きな音がして、白い煙が立ちこめ、すぐに続けて、もう1発音がした。焦げるような臭いが立ちこめた。安倍元首相のほうを見たら、姿が見えなかったので、安倍さんが撃たれたんだと思った」

 周囲の人々は当初、何が起こっていたのか理解できなかったようだ。先の女性は「周りは『え?』という感じで、よく様子がわからず、声も出ていない様子だった」だったという。警備の様子についてもこう語る。

「2発目が撃たれてから、ちょっと間があってから、犯人の近くにいた人ではなくて、少し離れたSPのような人がスライディングのような感じで、犯人を押さえた。そのあとに2人、3人と犯人に覆いかぶさっていきました。1発目のときは、誰も動けていなかったように思います。警備を厳重にしてないといけないと思うんですが、甘かったんじゃないかと思いました」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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【動画】安倍元首相の演説~銃撃~混乱する現場