天皇、皇后両陛下が国賓として招待された英国。両国に温かい笑顔が広がった交流を機に、英王室と日本の皇室の共通点を現地から考えてみた。AERA 2024年7月22日号より。
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6月下旬、天皇、皇后両陛下が訪ねた英国・ロンドン。天皇陛下はチャールズ国王と、雅子さまはカミラ王妃とそれぞれ馬車に乗ってバッキンガム宮殿までパレードし、夜は晩餐会へ。終始、穏やかな笑顔で交流する様子に、ロンドン市民にも笑顔が広がった。
筆者は7月3日、そんな温かな余韻が残るロンドンに到着した。ロイヤルファミリーに関するいくつかの取材を予定していたためだが、翌4日はちょうど総選挙の投開票日。野党労働党が圧勝し、14年ぶりの政権交代に街は沸き立っていた。英王室は選挙期間中は目立った活動は控えるのが伝統だが、街を歩けば、王室にゆかりあるものを何度も目撃する。
そもそも道の名前がキングズ通りであり、庶民の居酒屋パブはクイーンズヘッド。学校や病院の名前も多くはロイヤルがらみで、毎日使うコインには故・エリザベス女王のお顔が見える。
ダイアナ元妃から学ぶ
街角のお土産屋に並ぶマグカップにはチャールズ国王、キャサリン皇太子妃などの顔がデザインされ、絵葉書はビッグ・ベンなどの名所もあるが、ロイヤルファミリーの笑顔の写真にかすみがちだ。2022年9月に亡くなったエリザベス女王が可愛がっていたコーギー犬のぬいぐるみも人気だし、ロイヤルのお面も大人気。大人も子どももなりきって遊ぶのだという。
日常に浸透し、国民に深く愛されている英王室だが、1997年、ダイアナ元妃がパリで交通事故で亡くなった時には危機を迎えた。当時、スコットランドで避暑中だった女王は、ダイアナ元妃の突然の死にショックを受けたものの、葬儀はダイアナ元妃の実家であるスペンサー家が執り行うべきと考え、そのまま避暑を続けた。バッキンガム宮殿の上に追悼の半旗を掲げることもなかった。