大きな会場でのみせ方として、宇野が重視するのは「メリハリ」だという。
「(初演で)動きは、なるべく大きくは出来たと思うので。そこからは、逆に大きい部分と小さくする部分、その幅を大きくすることで、より伝えやすくなると思う。ずっと強いだけだとあまり伝わらないので、やっぱり、ちゃんと振り幅をみせていくところかなと」
「メリハリというのは、やっぱりどのジャンルでも必要になってくると思う。ジャンプでも、メリハリは大切です。やっぱりずっと力を入れていると全然上手くいかないので、しっかりリラックス、脱力する部分を作る。それは表現、演技にも言えると思います」(宇野)
全キャストが再集結したことについて「やっぱりみんなを一つにする力が、『ONE PIECE』というものにある」と語る宇野。試合では全く緊張することがなくなっていたという宇野だが、この再演では「最初は、めっちゃ緊張すると思います」と予想している。
再演では、「いろいろな新しい要素も取り入れる」と宇野は語る。
「昨年は演出の方も、スケーターがどこまでできるか分からなくて、僕たちもどこまでやるか分からなかったので。(今は)すごく仲良くなったので、いろいろな意見を話し合いながら『もっとこれはこう出来る』とか、言い合えると思うので。どんなものになるのか、今から楽しみです」(宇野)
熱意にあふれたキャスト陣は、LaLa arena TOKYO-BAYのリンクに『ONE PIECE』の世界を描き出すため、再び滑り始めようとしている。
[(c)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション『ワンピース・オン・アイス』2024製作委員会]
(文・沢田聡子)
沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。フィギュアスケート、アーティスティックスイミング、アイスホッケー等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。2022年北京五輪を現地取材。Yahoo!ニュース エキスパート「競技場の片隅から」