お笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」。右は相方の中川パラダイス

同世代の芸人も一目を置いている

「SNSで公開しているアメリカでの舞台の映像を見ると、いかにも日本人が話すカタコト英語という感じで、ぎこちない部分もあるのですが、それでも観客は爆笑しています。どういうネタが受けるのか、きちんと研究して試行錯誤しているのでしょう。先日の『アメトーーク!』の出演シーンで同期芸人が誰も村本に対して突っ込めなかったことに対し、山里が『村本あっちで頑張ってんだな、という気持ちが先に立っている』と分析していたのが印象的でした。異国の地で孤軍奮闘する姿に同期たちも一目置いているようです。渡辺直美やとにかく明るい安村など、ビジュアル力が強く言葉に頼らない笑いを発信できる“パワー系芸人”が近年、海外で活躍し、一定の実績を残しています。しかし、まったく違うアプローチで世界に挑戦する村本に、お笑い関係者や後輩芸人も注目しています」(前出の放送作家)

 7月の映画公開に合わせて、一時帰国をしている村本だが、9月までは日本で活動する予定で、独演会のチケットは即完売となるほどの人気ぶりだ。お笑い評論家のラリー遠田氏は村本についてこう述べる。

「村本さんというと、世間では政治的な発言ばかりが注目されがちですが、芸人として地に足のついた活動を続けているところが、最も評価すべきポイントです。たった1人で舞台に上がり、小道具や楽器も一切使わずに、言葉一つで観客を楽しませる漫談という芸は、シンプルな分だけ奥が深くて難しいものだと考えられています。しかも、村本さんの場合、異国の地で慣れない英語を駆使してそれをやっているのだから、難しさはさらに数段上がります。『アメトーーク!』で同世代の芸人たちが村本さんに一目置くような態度を見せていたのも、彼がアメリカでスタンダップ・コメディーの修業を続けていることにリスペクトの気持ちがあるからでしょう」

 テレビから「消えた」と言われる村本だが、その実、お笑いの純度はますます研ぎ澄まされているようだ。

(雛里美和)

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雛里美和

雛里美和

ライター。新宿・十二社生まれの氷河期世代。語学系出版社から邦ロックシーンを牽引するライブエージェント(イベンター)を経て、独立。教育からエンタメまで幅広い分野で活動する。

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