「お世話になったスカッシュ界に恩返ししたい」と多忙な商社勤務の傍ら、日本スカッシュ協会の実務に全力奔走する大谷眞会長(写真:編集部・渡辺 豪)
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「会いたい人に会いに行く」は、その名の通り、AERA編集部員が「会いたい人に会いに行く」企画。今週は日本スカッシュ協会会長に、団体戦で優勝経験のある記者が会いに行きました。

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 昨年10月の国際五輪委員会の総会で野球・ソフトボールやラクロスなどとともに、2028年ロス五輪の追加競技になったスポーツをご存じだろうか。30年ほど前、フィットネスブームに乗って人気が高まった、スカッシュだ。

 当時学生だった記者(55)はその魅力にはまり、気づけば最盛期には計5カ所のスポーツクラブやホテルでスカッシュコーチのアルバイトをしていた。その時、仰ぎ見る存在だった先輩OBの一人、大谷眞さん(63)がなんと今、公益社団法人「日本スカッシュ協会」の会長を務めていると分かり、さっそく訪ねた。

 35年前と変わらないがっちりした体格。聞けば、大学でスカッシュを始める前はラガーマンだったという。スカッシュの普及に奔走する協会の会長とはいえ、教育・情報システムなどの専門商社「内田洋行」での勤務が40年を超えるビジネスパーソンだ。

 協会は五輪種目に決定直後、声明を発表した。その際の心境を大谷さんはこう振り返った。

「まさに青天の霹靂。スカッシュをやってきた人間にとっては、やはり歴史的な瞬間だったと思います」

 同感だ。スカッシュは12年のロンドン大会、16年のリオデジャネイロ大会、20年の東京大会でいずれも五輪の新たな競技として選考に残るも涙をのんできた。国内でもこれまで何度か「ブームの兆し」と言われながら、メジャーになりきれなかった面も否めない。ただ、足元ではここ数年、スカッシュコートのオープンが相次いでおり、五輪種目になったことで競技人口増加の追い風にもなりそうだ。

 スカッシュは上達すればするほど体力を消耗するハードなスポーツだが、体力だけでは勝てないのも魅力。70歳を超えて全日本選手権に出場を続ける選手もいる。

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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