大谷 眞さん(おおたに・まこと)/1960年生まれ。関西学院大学卒。内田洋行エンタープライズエンジニアリング事業部副事業部長兼オフィスプロダクト営業部長(写真:編集部・渡辺 豪)

「かなり頭を使わないと勝てないスポーツ。経験は不可欠な要素です」

 そう話す大谷さんも往年の名選手の一人だ。全日本学生選手権で2位。社会人になってからは数年のブランクを経て、29歳の時に全日本選手権でベスト8入りし、日本代表として世界選手権に出場した。

 その後、1995年の阪神・淡路大震災で兵庫県芦屋市の自宅が損壊したり、東京や福岡での転勤生活が続いたりして選手を引退。内田洋行は社内に「スカッシュ部」があるが、そこにも大学時代の選手仲間に会うため、たまに顔を出す程度だったという。

 そんな折、別の商社に勤務する当時の協会会長に請われ、4年前に常務理事に就任した。「お世話になったスポーツなので、ちょっとでも貢献できることがあれば」と引き受けたという。

 ロス五輪で有望な日本人選手として、大谷さんがすぐに名前を挙げたのが女子のエース・渡邉聡美選手だ。現在、世界ランキング14位で日本勢最上位。昨年のアジア大会で史上初の銅メダルを獲得。22年の世界選手権団体戦で日本を過去最高の10位に導き、自身は日本人初の大会MVPを受賞した。ロス五輪は29歳で迎える。大谷さんは「メダルを狙える選手。できる限りサポートしたい」と話すが、そのために協会が取り組む問題も山積している。

 協賛企業を増やし、選手の経済的負担を軽減することは喫緊の課題だ。日本代表選手の強化合宿などに使う「ナショナルトレーニングコート」がないのも選手育成を阻む壁になっている。

 26年には国内で32年ぶりとなるアジア大会が愛知県名古屋市で開かれる。大谷さんは選手時代を彷彿させる迫力でこう意気込んだ。

「パリ五輪が終われば、次の五輪に向けた話題がもっと注目されるはず。これからが勝負」

(編集部・渡辺豪)

AERA 2024年7月15日号

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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