ある種のルッキズムで傷ついたかもしれない友達のお父さんたちには申し訳ないのだけど、無力な小さい女の子は世の中の色んなものを怖がることで自ずと危険を回避するものなので許してほしいと思います。少なくともあごひげを生やすような大人の男が、子どもの女より力が強いのはほとんどの場合で事実だし、タイマンを張ったら負けるのはこっち、向こうに悪気がなくともほんの一押しで大けがをする可能性だってある。そういう意味では多少の恐怖心や危機感はあるのが正常だとも言えるわけです。
分かり合えない「怖さ」も
具体的な心的外傷に基づいた恐怖心と、幼かった私の偏見を単純に並べることはできませんが、男に対する一定の警戒や恐怖心は、持っていたほうが実は女性が身を守るには便利です。もちろん、女性の犯罪者や悪い女というのもたくさんいますが、女に性的な興味を持っており、女を性的に搾取しようとか女の性的な魅力を使って金もうけしようとか考える輩は単純比較すれば男性のほうが多いし、平均的な腕力差というものもあるからです。別に悪者相手ではなくたって、たとえば恋愛で傷つけ合ったり、分かり合えないということに絶望したりする怖さだってあるはずです。
だから何より、怖いという気持ちに罪悪感を持ったり、自分がおかしいと思ったりする必要はありません。まして嫌な体験に基づいた恐怖であればそれはとても真っ当な、当たり前の感覚だからです。私自身、あごひげの男性を克服した後も色々なタイプの男性に苦手意識がありましたし、中学まで女子校だったせいか、女性と男性を区別して考えてしまう癖は未だにあると思います。