私の友人でもある女装家のブルボンヌさんは女装の時は見目麗しい美女ですが、男装の姿は私好みの塩顔イケメンで、ただの女とも男とも違う魅力や思想のある人です。新宿二丁目のような街には女性も楽しめる女装家のいるバーや心に女の子を飼っていそうなゲイ男性と話せる場所もあるので、そういう場所へ出かけて自分の中の男性というイメージを揺さぶるのは一つの手かもしれません。

 別に女装家やゲイ男性に限らず、ものすごく戦闘力の低そうな男とか、自分よりお肌がきれいで足が細く可愛い印象の男、人種の違う男など、この人だと緊張しないという人が見つかれば、彼を手掛かりに徐々に話しやすい男性の類型が広がっていくかもしれません。

 いずれにせよ、男は怖いという感覚はある意味で真っ当(個人的には女も怖いとは思うけど)なのだから、恐怖心に無理やりふたをして変な男に近づくよりも、男女あるいはそれ以外のジェンダーでも、自分が怖くないと思う人と楽しい時間を過ごすことを大切にしてほしいなと思います。

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鈴木涼美

鈴木涼美

1983年、東京都生まれ。慶應義塾大学在学中にAV女優としてデビューし、キャバクラなどで働きつつ、東京大学大学院修士課程を修了。日本経済新聞社で5年半勤務した後、フリーの文筆家に転身。恋愛コラムやエッセイなど活躍の幅を広げる中、小説第一作の『ギフテッド』、第二作の『グレイスレス』は、芥川賞候補に選出された。著書に、『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』『非・絶滅男女図鑑 男はホントに話を聞かないし、女も頑固に地図は読まない』など。近著は、源氏物語を題材にした小説『YUKARI』

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