鈴木涼美さん
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 作家・鈴木涼美さんの連載「涼美ネエサンの(特に役に立たない)オンナのお悩み道場」。本日お越しいただいた、悩めるオンナは……。

【写真】セクシーすぎる!鈴木さんのキャバドレス姿

Q. 【vol.18】男性を怖いと思ってしまうワタシ(20代女性/ハンドルネーム「おさかな」)

 男性への恐怖心が克服できなくて悩んでいます。幼い頃に性虐待にあったこと、中学時代に同級生の男の子から性被害を受けたこと、高校時代に塾講師からセクハラを受けたことなどが原因なのかは分からないのですが、男性と関わることが苦手です。

 高校から大学まで女子校に進学し、男性との関わりを避けてきました。小説を読んだり、映画を鑑賞したりして、恋愛に対していいなと思うことはあるのですが、男性と関わって、特に相手が恋愛感情を出してくると、途端に過去の嫌だった記憶を思い出して、逃げ出したくなってしまいます。

 過去を清算して、克服しなくてはいけないのはわかっているのですが、どうしても男性と関わるときに怖いという気持ちが拭えなくて前に進めません。アドバイスを頂けたらうれしいです。

A. 「男は怖い」は間違ってない。

 小さい頃、あごひげの生えた人が怖くて仕方なかった時期がありました。特に輪郭を覆うようにぐるっとひげのある人は大の苦手で、友達のお父さんや親せきだと分かっていても、隣や正面に座られると泣き叫んで席を替わってもらった、という経験は何度もあります。

 思い返しても、具体的に何か怖い思いをしたとか、嫌な経験と結びついているとかいう記憶は思い当たらず、というかうちの父もあごひげではないにせよずっと口ひげを生やしているし、系のひげを生やしている父母の知人たちはむしろ穏やかで優しい人が多かった気もするのだけど、何かきっと幼心に「ものすごく自分と違う生命体」として認識し、「食われる」「逃げろ」という本能がはたらいていたのだと思うのです。

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鈴木涼美

鈴木涼美

1983年、東京都生まれ。慶應義塾大学在学中にAV女優としてデビューし、キャバクラなどで働きつつ、東京大学大学院修士課程を修了。日本経済新聞社で5年半勤務した後、フリーの文筆家に転身。恋愛コラムやエッセイなど活躍の幅を広げる中、小説第一作の『ギフテッド』、第二作の『グレイスレス』は、芥川賞候補に選出された。著書に、『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』『非・絶滅男女図鑑 男はホントに話を聞かないし、女も頑固に地図は読まない』など。近著は、源氏物語を題材にした小説『YUKARI』

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女子校出身による“癖”