※写真はイメージです。本文とは関係ありません(fizkes / iStock / Getty Images Plus)
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 馬の合わない人とも仕事をしなければならない……。誰もが一度は抱えたことのある悩みではないだろうか? 渋谷109のカリスマ店員から有名週刊誌記者に転身した山田千穂さんが、相性の悪い人と接するための心がけ、具体的なポイントを、初の著書『ずるい聞き方』で紹介している。本書より一部抜粋・再編集してお届けする。

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おエラいさんに習う、上手に聞き流す術

 人気アイドルグループ解散の報道を受けて、すぐに真相を知るため事務所の社長に直撃取材したときのこと。私自身ものすごくファンだったこともあり勢い余って、

「本当に解散しちゃうんですか?悲しすぎます! すごくショックです! グループで活動する姿が見られなくなるなんて信じられません!!」

とストレートに聞いてしまいました。すると、

「そういえば、あの◯◯の記事どうなっているの? ◯◯と◯◯の記事もなんであんなこと書いたのよ?」

と話題をすり替えられてしまったのです。その後は延々、私が聞きたい話とはまったく関係ない話を聞かされました。

 そのときはまだ記者4年目だったので、解散の真相を取材できなかった悔しさより、「さすが業界トップクラスの経営者は逃げ方が上手だな!」と感心してしまいました。

 以来、話したくないことをストレートに聞かれたときは私も聞き流して、「そういえばこの前の……」「それはそうと、◯◯はどうなっていますか?」と話を逸らす手法でうまく切り抜けています。

  百戦錬磨の強者に取材するたび、こうした学びが得られるのも記者の醍醐味ですね。

山田千穂さん(写真:渡辺利博)
山田千穂さん(写真:渡辺利博)

注意や批判はみんながいる職場ではしない

 109の頃は、ほかのスタッフに注意すべきことがあると、お店とは違う場所で話すようにしていました。当時、あらゆる店をよく観察してみて、人間関係の険悪な空気は残り香のようにその場所に漂い続けるとわかったからです。

 今でもよく覚えているのは、最初に入った瞬間から悪い空気を感じたお店のこと。そのお店は、いつ行っても空気が重く居心地が悪かったので長居できなかったのです。

 気になったので、休憩室でそのお店のスタッフに会ったときにどんな様子なのか聞いてみたら、スタッフの仲が悪く、みんな陰口ばかり言い合っているというのです。その話を聞いて、「どうりであんなに空気が悪いわけだ。香りと一緒で悪い空気は残るんだな」と思いました。

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山田千穂

山田千穂

記者。埼玉県川口市出身。1988年生まれ。『週刊ポスト』『女性セブン』で記者を約10年経験。芸能、事件、健康等の記事を担当。取材で、聞く力、洞察力、コミュ力を磨く。3000人以上に取材。直撃取材、潜入取材を得意とする。 大学在学中は渋谷109で販売員としてアルバイトをし、お正月セール時には1日最高500万円を売り上げる。

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