遺伝子と老化の相関関係は? (写真はイメージ/GettyImages)
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 遺伝子と老化の関係は複雑だ。先天的な要因(=遺伝)がヒトの老化に与える影響は2割弱、残り8割ほどは後天的要因(=環境)であるといわれている。食事や運動、生活習慣など後天的要因に注目する生命科学者の早野元詞氏の新著『エイジング革命』(朝日新書)から一部抜粋・再編集して紹介する。

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ジェネティックとエピジェネティック

 遺伝子の働きは実に不思議です。

 父親と母親から全く同じDNA配列を受け継いだ一卵性の双子であっても、性格や顔つきも変わっていきますし、寿命も異なります。科学者として少々ふさわしくない表現をしますと、「遺伝子は、柔らかい/柔軟性が高い」ように見える。だからこそ、ますます興味深い。遺伝子こそまさに、動的変化の主役だといえます。

 先天的な要因(=遺伝)がヒトの老化に与える影響は2割弱といった程度です。つまり、残り8割ほどが後天的要因(=環境)であるならば、その変化を解明すれば、老化という動的変化の8割がたのイメージはつかめるということです。しかし、そうなかなかすっきりとはいかないのが、遺伝子の不思議なところです。「ジェネティック」と「エピジェネティック」を起点にしながら、その老化の核心をさらに見つめていきたいと思います。

 「ジェネティック(genetic)」の説明から始めましょう。英語の遺伝子「gene」に「-ic」(〜のような)という接尾辞が付いた形容詞で、「遺伝の」「遺伝的な」「遺伝に関わる」という意味になります。

 そもそも遺伝子とは何か。

 ヒトの身体をコンピュータに喩えれば、遺伝子はそれを動かすプログラムに当たります。私たちの身体は遺伝子の指令によって生きているからです。簡単にいえば、その遺伝子の指令によって、私たちが生きていくためのさまざまなタンパク質が作られる。その働き者の遺伝子(タンパク質を作るレシピ)は、体内の全ゲノムDNAの約1.5%に相当します。ちなみに残りの約98%のDNA配列は、エンハンサーやプロモーター配列など遺伝子の使い方を調整する機能を持つものから、未だに機能不明な配列まで、最前線の研究課題です。

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がんはDNAの変異から生じる