AERA 2024年6月24日号より

 もちろん、ずっと同じ会社にいる必要はない。70歳までとなると、転職したことのない人なら社歴が「50年」に迫ってしまう。リタイアメントプランに詳しいファイナンシャル・プランナーの山崎俊輔氏は、「『辞める自由』があることを忘れるな」と檄を飛ばす。

社外でチャレンジも

「会社に『いてもいいよ』といわれて『死ぬまで働かされる』と思う発想から脱却してほしい。シニアが重宝がられる時代は、シニアの立場が強くなることを意味します。会社側と交渉して『そんな報酬なら働かないよ』と言える時代になるのです」

 と言っても会社の外に出ても、「何をやったらいいのか見当もつかない」という人もいるだろう。そんな人には「定年後研究所」が「自分探し」のプログラムを提供してくれる。

 同研究所が早稲田大学と共同して展開し始めた半年間の「キャリア・リカレント・カレッジ」(CRC)がそれだ。自分と向き合い、上司・同僚や顧客から評価されたことを振り返り、自分が社会に提供できる価値とは何かを考える。さまざまな会社・分野から来た「同級生」と交流し、すでにさまざまな分野で活躍している先輩シニアの体験を聞く。池口武志所長が言う。

「今まで経験したことのない『越境体験』をしながら、これから自分が本当にやりたいことを見つけていくのです」

 社内、社外どちらを狙うにせよ、60歳になって考え始めるのでは手遅れだ。50代の早いうちに着手するのがいいだろう。(編集部・首藤由之)

AERA 2024年6月24日号より抜粋

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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