(写真:Getty Images)
この記事の写真をすべて見る

 ニトリホールディングスやトヨタ自動車など、70歳まで雇い続ける企業が増えている。そのため50歳前後で定年後が視野に入ってきた人でも、70歳まで会社で働き続ける可能性もある。残り20年をどう働けばいいのか。AERA 2024年6月24日号より。

【図を見る】「70歳までの就業確保措置の内訳」はこちら

*  *  *

 新卒で入社して約30年、頑張ってピークが近づき、「ようやく一息つける」と思ったらあと20年が待っていた──そんな構図だが、いったい、その20年をどう働いていけばいいのか。

「60代で定年→70歳まで継続雇用」の企業がますます増えると予想するリクルートワークス研究所の坂本貴志研究員は、50代前のキャリアとそれ以降は「別の物」と考えるべきだという。

「平社員から役職が上がっていくのが50代前の世界ですが、管理職になって、70歳までずっとそのまま続くケースは多くありません。50代以降のどこかの段階で一回ポストオフし、その後は仕事の負荷も下げながらプレーヤーとして働き続けるイメージです」

 例えば定年後は1年ごとの契約にして、元気な時は現役並みにバリバリ仕事をするし、翌年は体調がイマイチなので軽い仕事に変えてもらう、そんな働き方も考えられるという。

「個人としては管理職を降りた後でも、それぞれの分野で一定のレベルの仕事ができるようにしておくことが大事になります。営業で以前は1億円の仕事が受注できていた人が、定年後は3千万~5千万円受注できればよい、というイメージです。これならたとえ給料水準は下がっても、会社としては十分な戦力を得られます」(坂本研究員)

 シニアの労働事情に詳しい法政大学経営大学院の山田久教授は、働き方の主流が何になるかはまだ見通せないとする。

「定年延長も70歳までの再雇用も増えてはいますが、主流になるかというと何とも言えない状況です。案外、一定の仕事を切り出しやすい職種を中心に『業務委託』が増えるかもしれません。ともあれ、平均余命と健康寿命の関係を見ると、70歳前半までは細々とでも働く必要があると意識しておいた方がいい。自分がやってきたことを棚卸しして定年後に何ができるかを明確にしておくことが欠かせません」

著者プロフィールを見る
首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

首藤由之の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
明菜・聖子・ジュリー…スター・アイドル作品はフィジカル盤(CD/LP/カセット/DVD/Blue-ray)で!
次のページ