多様化する部下を抱え、管理職に求められるスキルは増える一方。仕事の見直しを行い、部下のマネジメントに注力できるようにすることも必要だ(写真:写真映像部)
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 キャリア意識の多様化により、キャリアに対するスタンスを把握し一人ひとりの意向に沿ったコミュニケーションが必要とされる。特に注意したいのが子育て中の女性のキャリア意識の変化だ。AERA 2024年6月24日号より。

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バリキャリ・ゆるキャリに加え、働く女性のキャリア意識に新たな潮流となるフルキャリが加わり、上司にはそれぞれのスタンスに合ったきめ細かなコミュニケーションが求められる。

 中でも難しいのが子育て中の女性のマネジメントだ。

 東京都内の教育施設で働く女性(48)は、娘2人が3歳くらいまでは「子ども優先。でも仕事は辞めない」というスタンスだったと振り返る。出版社勤務の経験を生かし、時間単位で預けられる託児所を利用しながら、フリーライターの仕事とともに、現在の職場で「週1回、半日出勤」の条件で業務委託契約。子どもの成長に合わせて徐々に勤務日数を増やし、アーキビストの資格を取るなどライター以外のキャリアもアップ。子どもが小学校高学年になった時点で「キャリア優先」にシフトしたという。子どもが中学生に育った現在、フルタイム社員として働く女性はこう心情を明かす。

「もともと仕事が好きだったというのもありますが、子どもたちとは小さい時期にしっかり向き合った実感があるので、今は基本的に仕事優先の距離感で向き合っても大丈夫と思えるのも、仕事を続ける上でプラスに働いています」

 子育ての負担の軽重で、仕事への向き合い方が変化していくのは当然だが、管理職にとっては子育て中の部下の「ギアチェンジ」に気づけるか否か、マネジメント力が問われる局面でもある。対応を間違えれば、離職につながるリスクもはらむ。

 男性上司にありがちなのが、「子育てが大変だろうから」という理由で子育て中の女性を責任ある部署や業務から外してしまうケース。シンクタンク「SOMPOインスティチュート・プラス」の大島由佳主任研究員は「子育てをしながらも仕事で成長、貢献したいという意欲を持つ人は少なくありません。上司一人の考えで、部下への期待や機会付与をやめてしまわないよう注意が必要です」と唱える。

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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