▽マンションの高層階に蚊はいない

 風に乗って地上付近から飛んでくることも考えられるが、動きが活発なアカイエカが人間と一緒にエレベーターに乗ってきたり、「待ち伏せ型」のヒトスジシマカがエレベーター内に潜んでいたりして、上層階まで来る可能性がある。

「低層階より高層階のほうが蚊のリスクが低いことは間違いありませんが、対策は必要です」
 

▽蚊は自宅でも発生する

 蚊は、水がたまっているところで産卵し、発生する。ベランダや庭のプランター、植木鉢の受け皿、バケツや廃タイヤなどにたまった雨水も、蚊の発生源になりうる。雨水がたまらないように気をつけ、ためている水はこまめに入れ替えるようにしたほうがいい。

 また、特にヒトスジシマカは薄暗い場所を好むため、庭の植物の手入れをして、日光が当たりやすくする工夫が必要だ。
庭やベランダに出たり、部屋の換気をしたりするときは、必ず網戸を閉める。その際、窓を半開にしていると網戸と窓の間に隙間ができることがあるため、窓は全開または完全に閉めるようにする。
 

高まる蚊の危険性

 デング熱やマラリアなど、蚊が媒介する感染症によって、世界では毎年80万人以上が死亡しているとされ、蚊は「世界で最も人を殺す生物」とも言われている。さらに今後、世界的な気温上昇に伴って蚊の生息域が変わり、これまでにはなかった感染症が日本国内に入ってくるのではないかと懸念されている。

 東京都内では2014年に約70年ぶりにデング熱が流行した。都は定期的に蚊を捕獲し、デング熱やウエストナイル熱、ジカ熱などのウイルスの有無を調査している。

 蚊のリスクは、「かゆさ」だけにとどまらない。

「蚊の対策に『裏ワザ』はありません。刺されないためには、基本を徹底することがなによりも大切です」と白井さんは言い切る。

 これからの季節、肝に銘じたい言葉である。

(AERA dot.編集部・國府田英之)

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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