中づり広告が貼り出されている週刊文春編集部の様子=2022年2月

 こうして文春オンラインには「週刊文春」「文藝春秋」などの雑誌や書籍からコンテンツが集まり、総合力をより生かせるようになった。ここ1、2年で、文春オンラインが社内のプラットフォームとして、他部署の記事を拡散させる装置になってきたという。

 また、若い読者層にもリーチできるようになった。

「週刊文春の中心読者は40~60代、月刊の文藝春秋は50~70代。文春オンラインを立ち上げた時に思ったのは、30代以下の読者を取れているメディアがないので、そこを取りに行こうと。オンラインの読者は今は30代以下が半分くらいにはなっています」

部署超えてスピードを

 2023年7月、文藝春秋、週刊文春、ノンフィクションの書籍部門、文春新書、文春オンラインを統合した文藝春秋総局が新設された。

「例えばこの雑誌の記事をウェブに載せようとか、ウェブの連載を書籍化しよう、『週刊文春』連載の書籍化をウェブで紹介しようとか、そういったことを部署を超えてやっていくのが狙いです。局をまたいでやっていたらどうしてもスピード感がなくなってしまうので」

 ひとつのネタがあったとして、それをウェブで速報するのか、雑誌連載で継続的に取材するのか、新書というパッケージに落とし込むのか。部署を統合することでアウトプットの出し口のバリエーションが広がり、よりふさわしい形でリリースできる。そこに「文藝春秋ビジネス部」という分析やマネタイズをする部署も紐づいている。コンテンツの力を最大限発揮させ、しっかりと収益に着地させる。「花」と「団子」で地道にデジタルファーストを進め、見えてきた事業の形だ。

 街の書店が減り、取次会社は返品率抑制のため配本を抑える。出版社は生き残りのため、紙媒体からデジタル媒体へのシフトを否応なしに突きつけられている。紙媒体とデジタル媒体の関係はこれからどうなっていくのか。

「それは僕には明確な答えがあって。紙とウェブは絶対に両方なければならないと思っています」(竹田さん)

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