文藝春秋 執行役員・文藝春秋総局 局長:竹田直弘さん/1973年生まれ。99年、文藝春秋入社。「週刊文春」「Number」「CREA」編集部を経て、2016年「文春オンライン」編集長に(撮影/写真映像部・佐藤創紀)

 週刊文春の数々のスクープや調査報道のように、人手や時間をかけた報道は紙媒体ならでは。ウェブ媒体では10人記者がいれば、なるべく早く10本の記事を作ろうとする。

「ウェブだったら、例えば事件があったらパッと取材して、その日のうちに記事を出して数字を取る。紙なら思い切ったシフトで大きなネタを追い、それが爆発する。それぞれスタイルの違うやり方で両方がうまく回っているから、今、文春のメディアは強いんじゃないかと思っています」

収益化に課題

 もはや文春オンラインに敵なしと思いきや、課題もあった。

「収益化です。デジタル広告の単価が下がってきているので、いま稼ぎ方を模索しています」

 模索の一つが、利益率の高いサブスクリプション(定額課金)の導入だ。「週刊文春 電子版」は2021年3月に始め、月額2200円。会員数は倍々ゲームで増え、昨年は最も伸びた事業のひとつだったという。

「ですがニュースを課金して読むのは、日本では発展途上のサービス。売り上げ的に紙の雑誌を補完するにはさらなる成長が必要です。今はとにかくチャレンジし続けなければと思っています」

 竹田さんはいま、執行役員と文藝春秋総局の局長を兼務し、文春オンラインはじめデジタル全般を見ている。「大変ですね」と話を向けると、

「ウェブは、結果が数字にすぐ表れるので面白い」

 と笑った。(編集部・野村昌二)

AERA 2024年6月24日号

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