週刊文春の数々のスクープや調査報道のように、人手や時間をかけた報道は紙媒体ならでは。ウェブ媒体では10人記者がいれば、なるべく早く10本の記事を作ろうとする。
「ウェブだったら、例えば事件があったらパッと取材して、その日のうちに記事を出して数字を取る。紙なら思い切ったシフトで大きなネタを追い、それが爆発する。それぞれスタイルの違うやり方で両方がうまく回っているから、今、文春のメディアは強いんじゃないかと思っています」
収益化に課題
もはや文春オンラインに敵なしと思いきや、課題もあった。
「収益化です。デジタル広告の単価が下がってきているので、いま稼ぎ方を模索しています」
模索の一つが、利益率の高いサブスクリプション(定額課金)の導入だ。「週刊文春 電子版」は2021年3月に始め、月額2200円。会員数は倍々ゲームで増え、昨年は最も伸びた事業のひとつだったという。
「ですがニュースを課金して読むのは、日本では発展途上のサービス。売り上げ的に紙の雑誌を補完するにはさらなる成長が必要です。今はとにかくチャレンジし続けなければと思っています」
竹田さんはいま、執行役員と文藝春秋総局の局長を兼務し、文春オンラインはじめデジタル全般を見ている。「大変ですね」と話を向けると、
「ウェブは、結果が数字にすぐ表れるので面白い」
と笑った。(編集部・野村昌二)
※AERA 2024年6月24日号