今の時代にフィットした生き方や働き方の先にある女性リーダー像って? そんなテーマを掲げて編集長の鎌田倫子が女性リーダーにインタビューする連載。1回目は前消費者庁長官で、伊藤忠商事やキヤノンで取締役を務める伊藤明子さんにご登場いただいた。前編・後編の今回は後編。
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後編のテーマは、「リーダーシップ」や「マネジメント」について。伊藤さんは、男女雇用均等法より前に建設省に入省。国土交通省住宅局長や消費者庁長官などを歴任し、組織を引っ張ってきた。これまで私的なことを語るのは言い訳のようで潔しとしなかったという。ただ今となって考えると、「弱さをみせるのが本当の強さかもしれない」。その真意をうかがい、リーダーシップの在り方を考えた。
――あらゆる場面で「女性初」でしたので、伊藤さんのインタビューやコメントが載った記事はたくさん残っています。でも、プライベートな話はほとんど出てきません。
伊藤明子さん(以下、伊藤):いまがんばっている女性たちも似たようなところがあるのですが、私的なことを言うことを潔しとしないところがある。たとえ、家庭やプライベートで大変な時期だったとしても仕事の言い訳のネタにしたくないという思いがありました。「そんなこと言っても仕事は仕事でしょ」と。
アヒルの水かきなんです。前に進んでいるのは、水面下で必死になって足を動かしているから。でもほかの人にはそれはわからない。がんばっている姿を見せないのが強さだと思っていた。
でも、今になって考えると、もしかしたらそうじゃないのかもしれない。弱さを見せられるのが本当の強さかもしれない。自分の等身大を見せるって怖いことだから。それに、自分の弱さを見せるって、相手の弱さを引き受けることでもあるでしょう?