時透無一郎。公式HP「刀鍛冶の里編」のあらすじ、第9話から(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

強き者も弱き者も

 強き者も、弱き者も、誰かを守りたいという心がある。柱稽古編では、それが丹念に描かれている。計算も合理性もかなぐり捨てて、思わず身体が動いてしまう。その気持ちが、本当の意味で人を「強く」する。そのために、まだ年若い無一郎にはもっとたくさんの「思い出」や他者との交流が必要なのだ。

 柱稽古の合間には、紙飛行機で仲間たちと遊ぶ、少しだけ年相応の表情を見せる無一郎を見ることができた。この思い出は、今後の無一郎を後押しするパワーとなるだろう。そして、無一郎が戦う時、その手には大切な日輪刀が握られているはずだ。

 まだ続く柱稽古の中で、無一郎たちの楽しい思い出がもっともっと増えることを願ってやまない。

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植朗子

植朗子

伝承文学研究者。神戸大学国際文化学研究推進インスティテュート学術研究員。1977年和歌山県生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科博士課程修了。博士(学術)。著書に『鬼滅夜話』(扶桑社)、『キャラクターたちの運命論』(平凡社新書)、共著に『はじまりが見える世界の神話』(創元社)など。

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