少年らしい笑顔を取り戻した霞柱・時透無一郎。公式HP「柱稽古編」のあらすじ、第4話から (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
この記事の写真をすべて見る

【※ネタバレ注意】以下の内容には、アニメ、既刊のコミックスのネタバレが一部含まれます。

【画像】鬼殺隊「最強」と言われる“柱”はこの人

 アニメ「柱稽古編」では、鬼殺隊のさまざまな「変化」が描かれている。第4話ではアニメオリジナル(アニオリ)シーンがたっぷりと含まれ、霞柱・時透無一郎の新たな一面を見ることができた。毒舌っぷりは健在だが、本心を語る場面も多くあった。さらに、剣士になってからは見ることができなかった“笑顔”がこぼれたシーンもあった。今までの人生では、「強さ」だけを追い求め、生き急ぎ、仲間たちとの交流や、少年らしい楽しみをすべて捨ててきた無一郎。そんな彼に訪れた「新たな変化」は、何をもたらすのか。アニメ4話のエピソードから考察する。

*  *  *

霞柱・時透無一郎の「毒舌」

 霞柱・時透無一郎は、鬼殺隊最年少の「柱」であり、孤高の天才剣士と名高い。その一方で、他人に対する言葉は辛辣で、「刀鍛冶の里編」では、刀鍛冶の少年・小鉄や後輩剣士の炭治郎にも、ひどい言葉を投げつけていた。

「刀鍛冶は戦えない 人の命を救えない 武器を作るしか 能がないから」

「くだらない話に つき合ってる暇 ないんだよね」(時透無一郎/12巻・第102話)

 自分よりずいぶん年上の刀鍛冶たちのことも、「鉄穴森(かなもり)」「鋼鐵塚(はがねづか)」と呼び捨てにし、彼らへの感謝や敬意が不足していた。

 ただ「強くなる」ことを目指し、自分自身に厳しすぎるがゆえに、いつも焦り、周囲を気遣えない。それがかつての無一郎の姿だった。

著者プロフィールを見る
植朗子

植朗子

伝承文学研究者。神戸大学国際文化学研究推進インスティテュート学術研究員。1977年和歌山県生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科博士課程修了。博士(学術)。著書に『鬼滅夜話』(扶桑社)、『キャラクターたちの運命論』(平凡社新書)、共著に『はじまりが見える世界の神話』(創元社)など。

植朗子の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
明菜・聖子・ジュリー…スター・アイドル作品はフィジカル盤(CD/LP/カセット/DVD/Blue-ray)で!
次のページ
変わってきた「毒舌」の性質