霞柱の時透無一郎。公式HP「柱稽古編」のあらすじ、第4話から(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

少し優しくなった無一郎

 柱稽古での無一郎の様子は、他の隊士たちに容赦のない(※実際には加減はしている)攻撃をしながら、「はい、死んだ」という言葉を何度もくり返していた。技を受けている一般剣士たちは、たまったものではない。

 しかし、これらの無一郎のキツい言葉は、これまでに彼が発してきた「毒舌」とは少し異なるものだった。稽古中に隊士たちに、「感情のまま攻撃」してもダメなのだといさめ、「生き残る術を持つために」と訓練の目的を伝えている。原作にはない場面であるが、無一郎は揺れる本心も吐露していた。

「僕は君たちに 鬼に殺されて欲しくはない」(時透無一郎/「柱稽古編」第4話)

 自分がたった14歳という若さであるにもかかわらず、無一郎は彼らに「できれば長生きしてほしい」と願うのだった。彼は、みずからの将来の姿として、「長生きしている自分」を想像したことはなかったはずだ。柱として、最も危険な場に身を置く鬼殺隊としてそれは変わらないだろう。だがそれでも、他者に対しては、無一郎は少しずつ「変化の兆し」を見せ始める。

刀鍛冶への思い

 過去の無一郎は「柱として戦う自分/それ以外の人たち」という価値観の中にいた。そして、まだ成長途中の自分の肉体の未完成さに焦っていた。だからこそ、鍛錬の時間を奪う他者に異常なほど、いら立ちをみせていた。

 しかし、刀鍛冶の里での戦闘以降、無一郎は、支えてくれている人たちの存在に心を向けるようになる。まず気づいたのは、刀鍛冶たちからの助力だった。「俺のために 刀を作ってくれて ありがとう鉄穴森さん」、そんな言葉が、無一郎の口から自然にこぼれるようになった。

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