本連載の書籍化第5弾!『鴻上尚史のおっとどっこいほがらか人生相談』(朝日新聞出版)

【鴻上さんの答え】

 ひよこ丸さん。辛いですね。なかなか眠れない日々ですね。「週に数回徹夜して冷凍の備蓄をする日々」は、本当に大変でしょう。

 「仕事ではどんなに変な人が相手でも、心のなかで毒づいていれば表面上ニコニコしていられたのに、育児ではそれができないことも情けなく思います」と書かれていますが、それは当たり前だと思いますよ。だって、仕事の場合は、どんなに嫌な人でも別々の時間がありますからね。

 でも、子育ては、24時間一緒ですからね。常に向き合うわけです。嫌な商売相手と、24時間、一年間、一緒にいろと言われたら、耐えられる人はいないでしょう。

 ですから、仕事がうまくいっていたのに、育児がなかなかうまくいかないのは当たり前のことです。育児には、「出直して考える」「相手のいない時にリフレッシュする時間を取る」「仲間と相手の悪口大会で盛り上がる」なんていう、ビジネス界で生きのびる生活の知恵が使えないですからね。

 それから、「夫が出世したことは喜ばしいことのはずですが、私が足踏みしている間に追い越されてしまったという悔しさもあり」という感情も当たり前のことだと思いますよ。

 夫といえども、職場ではライバルです。そのライバルに(自分のミスではないのに)先を越されたら、嫉妬するのは当たり前です。

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