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 大学は教育機関という側面だけではなく、研究機関としての役割もある。大学の持つ革新的な研究成果に基づいた「大学発ベンチャー」は、次世代のイノベーションの担い手としても注目されている。では、実際どれほどの大学発ベンチャーが各大学で誕生しているのだろうか。「受験偏差値だけに頼らない大学評価」をコンセプトに、編集部の調査・収集データに基づき作成した『大学ランキング2025』(朝日新聞出版)では、「 大学発ベンチャーランキング」として国内の大学発ベンチャー企業数を掲載している。今回、その一部を紹介する。

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国内企業数8年連続増加。慶應義塾大は300社を目指す

 国内の大学発ベンチャー企業数は2014年以降8年連続で増加しており、22年10月末時点で3782社が存在する。業界別では「IT(アプリケーション、ソフトウェア)」が、これまで最多だった「バイオ・ヘルスケア・医療機器」を逆転して1位になった。21年の調査から、企業数の増加率が150%を超えたのは秋田大(183%、6→11社)、高知大(156%、9→14社)、近畿大(161%、31→50社)など。増加数では61社増の慶應義塾大がトップだった。

 慶應義塾大は資金調達額で1位(INITIAL「2023年Japan Startup Finance – 国内スタートアップ資金調達動向決定版 – 」)と、「2026年度までに設立数300社」の目標に向けて着々と存在感を増している。このスピード感の背景にはベンチャーキャピタル(VC)の手厚さがある。経営、ときには投資家とのコミュニケーションに至るまで、それまで研究者個人にかかっていた負担をVCが的確かつきめ細かくサポート。23年には大学発VC初となるインパクトファンドも設立。かんぽ生命とともに、医療・健康領域およびデジタル・テクノロジー領域でポジティブな社会的・環境的インパクトの創出を目指す。

大学発ベンチャー企業数ランキング

1位:東京大/370社
2位:京都大/264社
3位:慶應義塾大/236社
4位:筑波大/217社
5位:大阪大/191社
6位:東北大/179社
7位:東京理科大/151社
8位:名古屋大/137社
9位:早稲田大/128社
10位:東京工業大/119社

大学発ベンチャーランキング1位~10位
大学発ベンチャーランキング11位~20位
大学発ベンチャーランキング21位~30位

※データは、2022年度 経済産業省「令和4 年度産業技術調査(大学発ベンチャー実態等調査)報告書」から

(文・大学ランキング編集部)