東大安田講堂(撮影:写真映像部・東川哲也)
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 2024年度になり、大学の高校別合格者数の大勢が判明した。中でも日本の最難関である、東大の科類別の合格者の様相はどうだろうか。今回のランキングは、文科Ⅱ類の高校別合格者で並べた。

 文科Ⅱ類は、主に経済学部に進学する学生を集めた科類だ。文科Ⅰ類に続く形で多くの官僚が輩出していたが、近年では起業などビジネスの道に進む者も多い。

 科類別に見ると、どういう傾向が浮かび上がるのか。なお、東大の推薦入試は科類ではなく学部別で合格者を出しているため、本ランキングは一般入試の合格者のみを対象とした。

東大文科Ⅱ類合格者高校ランキング 1位~9位

 1位は浅野(神奈川)の17人。東大全体の合格者でも、今年は過去2番目に多い数字となった。浅野は浅野財閥の創始者である、実業家の浅野總一郎が大正期に創設した学校で、実学を重視する教育方針で知られる。独自の経済教育にも取り組んでおり、こうした背景から1位におどり出たのかもしれない。昨年度入試でも、浅野は文科Ⅱ類で7位に入っている。

 2位は開成(東京)、聖光学院(神奈川)、西大和学園(奈良)が16人で並んだ。5位は海城(東京)の14人、6位は灘(兵庫)の11人。7位は筑波大附駒場(東京)と栄光学園(神奈川)が10人で並び、9位は浦和・県立(埼玉)と駒場東邦(東京)が9人で並んだ。

 上位10校のうち、2位の西大和学園と6位の灘以外は首都圏の学校が占めた。関西圏などの高校も半数近かった理科Ⅰ類などと比べると、その偏りは大きい。考えられる要因は、首都圏以外の地域では、地域の高所得者層は医療従事者や技術者が多い。一方で高学歴な人が就く文系の職業は公務員などに限られ、文系の難関大学に進学するキャリアモデルを見いだしにくい点だ。

 文科Ⅱ類の人気自体も低下している。近年の文科Ⅱ類の入試では第1段階選抜がない年も多く、今年度の入試でも2021年度以来3年ぶりになかった。

 背景には、08年度から東大では「全科類枠」というものが設けられ、経済学部の定員340人のうち、約18%の60人が他の科類からでも進学が可能になった。一方で文科Ⅱ類の今年の合格者は355人で、希望者全員が経済学部に進学できるとは限らなくなっている。

 そのため、経済学部志望でも無理に文科Ⅱ類にこだわる必要がなくなり、文科Ⅲ類や理科類などからでも進学できるようになった。進学に求められる点数も文科Ⅱ類と比べそこまで高い点数でもない。他にも、「文系では最も入りやすい」とされる文科Ⅲ類の人気が近年高まっているのも背景として考えられるだろう。

(ライター・河嶌太郎)

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