東大本郷キャンパスの赤門

家庭教師のバイトを週に4日

 東大進学後は家賃が安い埼玉県に住み始めた。基本的に実家からの仕送りはない。居住している自治体の生活福祉支援金制度を利用して月2万5000円程度の支援を受け、家賃や食費などの生活費に充てているが、とても足りないので、家庭教師のアルバイトを週に4日して生計を立てている。

「週に4日アルバイトをして、大学で研究をして、学者になるための勉強を頑張っていると、とても余裕なんてありません。サークルに入ると飲み代もかかるので入りませんでした。もちろん、海外への留学なんて夢のまた夢です」

 学費に関しては、日本学生支援機構(JASSO)からの貸与型奨学金でまかなっている。4年間で総額300万円くらいの借入額になる予定だというが、将来返済できるかも不安が残る。

「給付型の奨学金も検討しましたが、親の年収が基準より上だったようでダメでした。学費が上がれば奨学金の借入額が増えるわけで、僕が背負う“借金”も多くなる。言語学者の夢を取るか、早く就職して現実的な道に進むか、ずっと悩んではいましたが、10万円の学費引き上げのニュースを見たときに『今でもこんなにきついのに、さらに?』ってショックでした。やっぱり値上げが決定打になった感じはしますね。もう3年生なので、今は民間企業に就職することも視野に入れて動いています」

 そもそも、国立大の授業料は、文科省令で年間53万5800円が「標準額」と決められており、東大の授業料も同額だ。だが省令で最大20%までは増額できることになっており、東大が上限まで引き上げた場合、64万2960円となることから、現在より約10万円増える。

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地方国立大学も追随して値上げ?