発酵デザイナーの小倉ヒラクさんが「飲むと力が湧いてくる」と話す鈴木百合子さんの味噌汁。麹の里と呼ばれる秋田・増田町の味噌を使って、毎日作る

 食べ物が体を作り、心を整える。それ以来、私は母の作る味噌汁と料理で心身ともに元気になりました。そしてあらためて、麹屋を営む両親の仕事が素晴らしいものだと思えたのです。現在、インスタグラムで「365日味噌汁計画」をアップしているのも、味噌汁の力を心底信じているからです。夫は両親の麹屋「羽場こうじ店」で働き始め、私も元気を取り戻し、「健康を作る仕事がしたい」と思うようになりました。

 日本人が昔から食してきたものの大切さ、この地に発酵文化が根づいた意味を守っていきたい――羽場こうじ茶屋「くらを」を始めた理由です。おかげさまでお店は2023年に10周年を迎えました。まだまだ途上ですが、私の信じている調味料、食材でお客さまに料理を作っていきたいと思っています。

 私を救ってくれた味噌汁は、わが家の朝の食卓には不可欠なものとなりました。麹屋で朝の仕事を終えた夫と息子が、ひと時自宅に戻る時間が家族の朝食タイム。短い時間で手早く栄養のあるものを食べてほしい。味噌汁はそんな食事にぴったりです。

 そして私の味噌汁は、自分でも驚くほど「実」だくさん。季節の野菜、山菜やきのこ、海産物などたくさん入れます。いろんな食材の組み合わせで作ってみたいから。さまざまな食材で味噌汁を作って感じたのは、味噌は実を選ばないということ。なんでもおいしい! 「これは合わないかな?」と思って作っても、食べてみると「イケるかも!」とむしろ新しい発見があります。味噌の包容力は無限、とすら思ってしまいます。

 私が「味噌汁の包容力」を実感したオリジナル味噌汁は、こんな感じ。Instagramには「365日味噌汁計画」として毎日の味噌汁をアップしています。

  • もずく、油揚げ、大根の葉の味噌汁
  •  新鮮なじゅんさいをたっぷりいれた味噌汁
  •  にんにくをたっぷり使った豚ばら炒め入り味噌汁。黒コショウを効かせて
  •  キャベツとひき肉のにんにく炒めを入れたガツンと味噌汁
  •  ネギとみょうがを焼いて入れた味噌汁
  •  焼いた鯛のアラと水菜の味噌汁
  •  ベーコン、レタス、トマト、コーンのサラダ風味噌汁
  •  焼はんぺんの味噌汁

(構成 生活・文化編集部 端 香里/写真 福井裕子)

暮らしとモノ班 for promotion
「集中できる環境」整っていますか?子どもの勉強、テレワークにも役立つ環境づくりのコツ