この件で関心を持つ人が増えたのか、婚前契約書に精通する弁護士の服部浩司さんの元には、毎週のように相談依頼があるという。

結婚前に、夫婦間での財産の取扱い、家事分担、出産育児、キャリア等や、万が一離婚となった場合の財産分与などについて話し合い合意し、その内容を書面化したものが婚前契約書です。今は価値観が多様化する中マッチングアプリで知り合い、結婚に至るカップルが増えており、相手を知る機会が少なくなっています。特にスピード婚では結婚観、家族観等について具体的に話し合うことで、お互いをよく知り、意見をすり合わせておくことが重要です」(服部さん)

 離婚時に泥仕合となり、裁判へと発展したとする。庶民では裁判にかけられるお金の限度に早い段階で達してしまうが、セレブで弁護士への報酬がふんだんに払える(裁判に勝った際の利益も大きい)となると、紛争が激化しやすい。

「生涯を添い遂げたいと思った相手と、最悪の別れ方をすることは家族全員にとって不幸です。離婚後も子にとっては両親ですので、『良い別れ方』をするためにも婚前契約書を締結される方もいます」(服部さん)

(ライター・羽根田真智)

AERA 2024年5月27日号より抜粋

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