中森明菜さんは、ファンの予想以上に“進化”し続ける方だと思っています。それに気づいたのは、14年のNHK紅白歌合戦です。10年10月に帯状疱疹になって療養されて、そこから4年3カ月ぶりに出てきてくれたのが、紅白でした。

 どんなふうにステージに上がるのか、『DESIRE -情熱-』でくるのかな、『ミ・アモーレ〔Meu amor é・・・〕』でくるのかな……と、ワクワクしていました。そうしたら、『Rojo -Tierra-』という浅倉大介さん制作の新曲だったんです。

「DESIRE -情熱」のジャケット写真も秀逸だ/ファン私物 撮影・中村隆太郎


 普通なら自分の持ち歌の中から大ヒットした曲か、出場当時の喉のコンディションにあった曲から選ぶと思います。ファルセットを生かした曲を選ぶのではないかと思ったところ、全く違う新曲! しかも打ち込みの楽曲をもってきたというあの攻めっぷりを見ていると、『ずっと“進化”をしている人なんだ』と思いました」

『赤い薔薇が揺れた』に期待

 そして、その“進化”で期待も裏切ってほしいと語る。

「セルフカバーするなら『DESIRE -情熱-』『飾りじゃないのよ涙は』などの王道曲ではなく、2000年代のファルセットの優しい感じでもなく、90年代後半のもの、例えば、97年にリリースされたアルバム『SHAKER』の『赤い薔薇が揺れた』とかがいいですね。

 明菜さんは、ロックが好きだから生演奏の曲にこだわりがあって、打ち込みの曲は好きではない、踊るにはいいけど歌うにはちょっと、と当時回答されていたように思うんですね。でも、『赤い薔薇が揺れた』など90年代の作品では、打ち込みの曲に多く挑戦された。

『赤い薔薇が揺れた』は隠れた名曲で、あの曲をいまの明菜さんが歌ったらどうなるんだろうという期待もあって、ぜひ聞きたいですね」

 もちろん、中森明菜のステージも待ち望んでいる。

「昨年末は、もしかしたらサプライズでNHK紅白歌合戦に出演するのではないかと、自分のカウントダウンライブを休んで待っていました!(笑) 今年こそ紅白で元気に歌う姿を見たいと思います。

北ウイング』は84年1月1日にリリースされた曲です。2024年末を40周年の『北ウイング』で締めくくるのは、ストーリーとしても素敵ではないかなと思います」

 自身の夢の話も飛び出した。

「私は小さい頃から紅白歌合戦に出るのが夢なんです。なので、夢は大きく、今年は明菜さんが紅白で復活、Kayaは紅白初出場!(笑) 無謀な夢でも、言霊になってくれるかも。

 世の中悲しいニュースが多いなかで、中森明菜さんがどこかで歌い続けていてくれて、笑顔でいてくれる。そして、いつかまたステージに立つという明るいニュースを運んできてくれる……そういう思いを大切にしています。私にとって、中森明菜さんはかけがえのない存在です」

 年末の話は少し気が早すぎるが、私たちはとにかく中森明菜を待っている。進化を止めない令和の中森明菜を待っているのだ。(AERAdot.編集部・太田裕子)

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