一方の投手で最も結果を残している選手と言えば田中健二朗(元DeNA、くふうハヤテ)になるだろう。ここまでリリーフで14試合に登板してチームトップの3セーブをマークし、防御率0.00を記録しているのだ。ストレートは140キロ前後と速さはないものの、サウスポーらしいボールの角度と走者を背負ってからの粘り強い投球は健在だ。今年9月で35歳と完全にベテランであり、NPB復帰へのハードルは高そうだが、左のリリーフは需要が高いだけに、この投球を続けていけば獲得を検討する球団が出てくる可能性もありそうだ。

 投手でもう1人活躍を見せているのが薮田和樹(元広島、オイシックス)だ。プロ入り3年目の2017年には15勝3敗で最高勝率のタイトルを獲得。しかしそれ以降の6年間で4勝に終わり、昨年オフに自由契約となった。オイシックスではここまでチームトップとなる56回1/3を投げて1勝3敗ながら、防御率は2.56とまずまずの数字を残している。ストレートはまだ140キロ台後半をマークすることも珍しくなく、小さく変化するツーシームやカットボールも悪くない。35四球と課題のコントロールは解消されているとは言い難く、今年で32歳と若くないだけにNPB復帰は簡単ではなさそうだが、今後の投球次第ではまだ可能性は残されているのではないだろうか。

 その他の投手ではオリックスをわずか1年で自由契約となった西濱勇星(くふうハヤテ)も積極的に起用されているものの、防御率は4点台と結果を残すことはできていない。まだ若いだけに、将来性をアピールできるかが重要になるだろう。

 こうしてまとめてみると、現時点で有力なNPB復帰候補は不在という印象は否めない。ただシーズン中に思わぬ故障で長期離脱となった選手が出てきた時に、調査の対象となる選手が出てくることは可能性はあるはずだ。ここからさらに調子を上げて、さすが元NPBというプレーを見せてくれる選手が出てくることを期待したい。(文・西尾典文)

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。
 

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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