サッカー中国代表の主力ウー・レイ(ロイター/アフロ)
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 6月、日本代表は2026年W杯のアジア2次予選の2試合(6日:ミャンマー戦、11日:シリア戦)が予定されている。その森保ジャパンの戦いぶりとともに注目したいのが、アジアの出場枠が「4.5」から「8.5」と大幅拡大された中での他国の状況、特に“W杯初出場”を目指す国々の戦いぶりである

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 近年、アジアの勢力図は明らかに変化している。長らく日本、韓国の2強だった「東」では、強力なライバルにになるはずだった中国が頭打ち状態の一方で、タイ、ベトナム、インドネシアの東南アジア勢の躍進が著しく、自国の経済成長に比例して代表チームも力を付けてきた。選手個々の能力向上とともに、欧州から指導者を招いて戦術的にも現代的なチームに変貌を遂げていることは、日本がベトナム、インドネシアと対戦して勝利(4-2、3-1)こそ収めながら内容的には苦戦した今年のアジア杯でも感じられた。

 元々、東南アジア各国のサッカー人気は非常に高く、今や代表戦に対する国民全体の注目度は日本以上と言える。もちろん、日本、韓国と比べると、まだまだ「差」があるとは言え、アジア杯でも話題となったスタンドに詰めかけたファンの盛り上がりぶりを見ていると、今後はその差が詰まってくることが容易に予想される。現にアジア杯ではタイとインドネシアがグループリーグを突破してベスト16入り。ともに1回戦敗退となったが、今後の成長度を考えると、今回の「8.5」枠の中に進境著しい東南アジアの国が入ってきてもおかしくない。

 とは言っても、「西」アジアの強さは変わらない。むしろ勢力を強めている。前回のW杯開催に合わせて国家プロジェクトとして代表チーム強化を図り、アジア杯2連覇という成果も手にしたカタールの充実ぶりは言わずもがな、個人能力の高いイラン、イラクの強さも健在だ。そしてカタールと同じように潤沢なオイルマネーを背景にしたサウジアラビアのクラブレベルの強化が目立ち、クリスティアーノ・ロナウドを筆頭にカリム・ベンゼマ、エンゴロ・カンテ、ロベルト・フィルミーノなど欧州ビッグクラブで活躍した世界的名手たちが所属する中で、2023-24のACLではベスト16にアジア最多の4クラブが進出した。自国リーグのレベルが上がれば、必然的に代表チームも強くなる。

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アジアからW杯初出場国は誕生する?