「夢あるやん、行け!」

 19年に渡米。10日間の営業ツアーでそれまでの1年分を売り上げた。美しい炎を生み出す技術や、素材を生かした風合いが受け入れられ、欧米圏のインテリア雑貨店を中心に取引が増えた。

「私たちが作る和ろうそくの哲学に共感してもらえたと思います。地下から掘り起こす化石燃料ではなく、地上にあるものを原料にすれば営みに無理がない。もっと自然を享受する生き方があっていいと思うし、そこになる果物を採るようにろうそくを作る、そんな価値観を分かち合えたと」

 近江の地に根付きながら、今では国内外に販路が拡大。メッセージ性のある商品をいろんなお店に置いてもらい、見た人から、うちでも扱いたいと連絡が来るようになった。

「なるべく営業に行かない作戦で(笑)、作る時間を確保しています。商品が最強の営業マンなので」

 自然とともに無理のない生き方へ、ろうそくがいざなう。(ライター・桝郷春美)

AERA 2024年5月27日号

暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ!どんな企業と契約している?