公益通報には当たらないため、懲戒処分は妥当だという。果たしてそうか。公益通報制度に詳しい中村雅人弁護士に聞いた。

「違法性は阻却される」と弁護士

――Aさんの行為に違法性はあるか。

 現象面だけをみれば、地方公務員法に違反している可能性はあるように思う。しかし、その行為が公益に資する目的で行われていれば、違法性は阻却される、つまり免責されると考える。

――Aさんは今回の通報以外にも町のさまざまな情報を取得している。

 余計な情報をたくさん取っていたことが問題になった判例がある。しかし、公益通報が目的であれば、取得した情報の範囲は問題ない。ピンポイントに情報を取得するのは困難であり、許される情報収集は広く捉えるべきだ。

――どの法律に抵触しているか、通報者側は明確に自覚する必要があるか。

 法律家でもない通報者本人の自覚は関係ない。不正があると認識するだけで足りる。プラスになる通報をしてくれたら保護する、というのが本来の法の趣旨だ。

――百条委などの結論が出る前に懲戒処分が行われた。

 事業に問題ありとする結論が出れば、通報者の業績と捉える見方も出てくる。町民のためにいいことをした人を早々に罰することは、公益通報とは別の観点でも問題があると考える。

 町議会の百条委員会は関係者の尋問などを既に終えており、報告書のまとめ作業に入る。来月にも報告する予定だという。

(AERA dot.編集委員・夏原一郎)

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