AERAで連載中の「この人のこの本」では、いま読んでおくべき一冊を取り上げ、そこに込めた思いや舞台裏を著者にインタビュー。
【写真】『インティマシー・コーディネーター 正義の味方じゃないけれど』
2022年の流行語大賞にノミネートされたインティマシー・コーディネーター(IC)。日本で数人しかいないICの一人である筆者の西山ももこさんは、いかにしてその仕事についたのか。ガッツで留学を果たした学生時代、パートナーとの出会いや別れなど紆余曲折の人生とICの仕事内容やいまだ抱える現場の問題点、ICの未来を書いたノンフィクション『インティマシー・コーディネーター 正義の味方じゃないけれど』。西山さんに同書にかける思いを聞いた。
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インティマシー・コーディネーター(IC)。映画やドラマの撮影現場で性的な描写やヌードシーンなどにおいて、俳優の同意を取りながら監督の意向を聞き、制作を円滑に進めるその存在はいまや広く認知されている。だが日本に数人しかいないICの一人、西山ももこさん(44)の著書には驚きがいっぱいだ。
例えば「実は日本の映像業界には『濡れ場』が多い」(え? そうなの?)、「値切られる」「ICだけで生計を成り立たせるのは難しい」(え? ライターと一緒?)。なにより「ICは正義の味方じゃない」。
「ICは俳優を守る“正義の味方”というイメージで見られがちですが、私たちはあくまでも撮影が安全に行われるための調整役。正義の味方でもなんでもないんです」
と、西山さんは歯切れ良く話す。気さくで朗らか、なんでも相談できそうなオーラが全身から溢れ出ている。