AERA 2024年5月20日号より

母親ばかり貧乏くじ

 AERAが今年4月に行ったアンケートでも、家事・育児の負担が大きく、仕事にしわ寄せがきたという女性たちの声が寄せられた。

 茨城県で期間雇用の公務員として働く女性(54)は、96年に出産。当時はまだ珍しかった育休制度があり、復職したがワンオペ状態に。当時を振り返って、こう話す。

「心身ともに疲れ果てている姿を見ても夫は全く気にせずパチンコや飲み会に明け暮れていて、義父母も『嫁がやって当たり前』という姿勢。やむなく離職しました。仕事も育児もやっていこうと強い心を持っていたのに女性だったばかりに多くのものを失くしました」

 子育て現役世代からも同様のメッセージが届いた。教育・学習支援系企業で契約社員として働く東京都の女性(33)は、

「子どもが急に発熱し、どうしても預け先が見つからず、結局仕事に穴を開けてしまった。どうして母親ばかりこんな貧乏くじを引かされるのか。思うように仕事時間が取れないため、収入が少なく、結果、家事を負担するのは仕方ないのかと思ってしまっている」

 その言葉に「もっと働きたい」という想いと、不公平感と向き合ってきた悔しさがにじむ。

 働く女性がどんどん増える昨今。「家事・育児をする夫やパートナー」が“マウントの種”にならないほど普通の存在になることが重要だと改めて感じるが、どうすれば、そんな関係が築けるのか。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院の治部れんげ准教授は、こう指摘する。

「これまでの夫婦は、妻が何も言わずにあきらめているパターンが多かった」

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