相談は一人1時間を目安にしているのですが、なかなか切ろうとしない方もいますね。昔は、「電話代が数万円になって家族から怒られた」なんて話も聞いたけど、今は「かけ放題プランなので大丈夫です」って。

 着信すると、電話機に赤いランプがつくんです。受けると青いランプに変わるけれども、受けられないと消えてしまう。他の電話に対応している間、赤いランプがついては消え、ついては消え、の繰り返しです。

 以前、自死した方のご家族から電話がかかってきたことがありました。「本人の携帯に、この番号にかけた履歴が残っていて……」と。でもこちらでは受けた記録がなかったので、残念ながらつながらなかったんだろうと思います。

記録にまとめる時、そこに自分の気持ちも置いていく

――相談員を続けていて、心が苦しくなることはありませんか?

 たまに、後味の悪い電話を受けることはありますよ。「人の苦労は蜜の味って思ってんだろ」なんて言われたり、「そうね」と相づちを打ったら「ため口聞くな!」って怒られたり。でも、その人はその時そういう気持ちだったんだって割り切るしかないし、怒って気がせいせいしたならいいかなって。

 自分の無力を痛感する電話もあります。ある時は、死にたいと話す30代くらいの女性からの電話を1時間以上聞いたけど、何を言ってもダメで、向こうも黙っちゃって。家族とうまくいかず、精神を病んでいたようでした。「お医者さんに相談してほしい」って繰り返し伝えても、「それはいいです」「迷惑かけてすみません」と。その後、彼女がどうなったのかは分かりません。

相談員たちのグループ研修の様子
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死ぬ前に誰かに知ってほしい