まだまだ求める人がいる

――相談者の様子や相談内容に、時代の変化は感じますか?

 昔は、家族や友達とうまくいかないっていう人間関係の悩みが多かった気がします。でも今は、誰ともつながれない孤独に苦しんでいる方が多い。相談者の年代で一番多いのは40、50代なので、高齢者が孤立するのとはまた別の話です。

 SNSの影響で、ある意味生きづらくなっているのかもしれませんね。SNS上では多くの人とつながれるけど、お互い自分を偽れるわけでしょう。そんな相手を、どこまで信頼できるのか。人と人の関係が希薄になって、ぬくもりが阻害されているように思います。若い人からの電話が減っているのも、その表れなのかな。面倒くさいのか怖いのか、誰かとじかに会話するのを嫌がる傾向があるようです。

 とはいえ、いのちの電話が50年以上つぶれないで続いているのは、まだ求めている人がいるということ。「はい、埼玉いのちの電話です」って電話をとってから、相手の声が聞こえてくるまで、今でもドキドキするんですが、あなたが生きていることを応援する人がいると伝え続けたい。つながりにくいかもしれないけれど、いつでもお電話お待ちしています。

(聞き手・構成/AERA dot.編集部・大谷百合絵)

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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