プレーの質も強度もアマチュアとは段違いのプロの世界でもまれる。1年目を戦い抜き、先発こそ少ないが57試合に出場。さらなる飛躍が期待される(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

 小学4年になると、地域の強豪クラブに入団して本格的にバスケに取り組んだ。高校は関西大北陽に進学。3年時には全国高等学校バスケットボール選手権大会に出場し、強豪・福岡大大濠(おおほり)を相手に34得点・12リバウンド・10アシストの活躍を見せた。

 2メートル近い恵まれた体格でインサイドを任されることが多かったが、シュートタッチは柔らかく外角からの得点もお手の物。まさにオールラウンダーで東海大学入学後すぐに主力に。日本一に輝いた2年時の全日本大学バスケットボール選手権大会では得点王と優秀選手賞を受賞した。

「前年に先輩の(大倉)颯太さん(現千葉ジェッツ)や(河村)勇輝さん(現横浜ビー・コルセアーズ)が抜けて、僕らの代は結果を残すのは厳しいと見られていたんです。それでも優勝しないと次につながらない。普段使われないポジションであってもチームを支えるために、チームのプラスになるよう働こうと。そこで結果を出せたのは自身の成長も実感できたし財産になっています」

 与えられた役割を全うできる順応性が培われていたことも、学生選手が国際舞台で結果を残せた要因なのだろう。W杯2次予選での経験で、より自信を深めたと思いきや、一線級の選手たちとの間にギャップも感じたという。

「アンダー世代の代表で国際試合は経験していましたが、A代表は質も強度も緊張感も、何もかもが違いました。代表合宿での練習からそのレベルに慣れるのに必死で、越えなきゃいけない大きな壁を初めて感じました」

 衝撃の代表デビューから約1カ月後、東海大学を退学。千葉ジェッツに練習生として加入することを決断し、翌シーズンからはプロ選手として歩むことを決めた。(編集部・秦正理)

AERA 2024年5月20日号

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