金近廉(かねちか・れん)/2003年生まれ。大阪府出身。身長196センチ。23年に日本代表デビュー。同年、東海大を2年で中退し、千葉ジェッツに加入。3ポイントシュートを得意とする(撮影/写真映像部・松永卓也)
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 AERAの連載「2024パリへの道」では、今夏開催されるパリ五輪・パラリンピックでの活躍が期待される各競技のアスリートが登場。これまでの競技人生や、パリ大会へ向けた思いを語ります。

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 近年、躍進が続く日本バスケットボール界で、近未来の日本代表を担うと目されるニュースターだ。

 昨年2月23日に行われたFIBAバスケットボールワールドカップ2023(W杯)アジア2次予選。高崎アリーナでのイラン戦で代表デビューを果たすと、6本の3点シュートを含む20得点を挙げ、チームのスコアリングリーダーとして勝利に貢献した。当時は東海大学の2年生。Bリーグの選手が居並ぶ中、現役大学生が鮮烈な印象を残した。

「プロの経験も一切なかったので、僕なんか誰も注目していないだろうと、開き直ってプレーしていました。初めて代表として出場して『シュート何本か決めたら上出来やろ』って」

 イランは長年、アジアの強豪として君臨。前年のテヘランでの試合では敗れている格上の相手だった。

「イランは強いとは聞いていたんですけど、詳しくはよくわかっていなかった。相手を意識せずに、自分のことだけに集中してプレーできたのがよかったのかなと」

 緊張もなく飄々(ひょうひょう)と。臆(おく)してしまいそうな大舞台で結果を残せたのも、築き上げてきた土台があるからこそだ。

 バスケと出合ったのは小学2年の時。自宅の前の公園にバスケットゴールがあり、2歳上の兄と一緒に、辺りが暗くなるまで遊んだ。

「シュートを決めたときが一番うれしくて、バスケの面白さにすぐにハマりましたね。一人でも公園に行っては、ずっとドリブルをついていました。飽きることなんて一切なかったです」

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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